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第3回「もう無理」と思った日。退職と家計の裏話

「もう無理」思った日 退職と家計 お金と暮らし

「退職を決めた日」のことを、今でも鮮明に覚えています。
私は61歳を過ぎたある日、突然の内示をきっかけに大きな決断をしました。
そのときの迷いや夫との会話、そしてどう決断に至ったのか――今日は少し赤裸々に振り返ってみたいと思います。


退職を決めた日のこと

その日の午後、上司が慌てた様子で私の元にやってきました。

「ゆずさんに内示が出た。◯◯店。できる限り、仕事内容はスキルが活かせるように調整するよ。」

――とうとう来たか。
60歳を過ぎると、自宅から近い現場に異動というルールは知っていましたが、日々の忙しさで深く考えずに過ごしていました。
午前中には、これからのプロジェクト体制を相談していたくらいです。

一旦は返事を保留にしましたが、心の中では「これ以上は続けられない」と感じていました。

夫との会話、そして決断

帰宅後、夫に「退職したい」と打ち明けると、当然のように反対されました。

夫:「やってみて、嫌だったらやめたらいいじゃないか」
私:「これまで積み上げてきた経験を無視されるような異動に、もう心がついていけないの」

実は同じような異動は過去にもあり、そのたびに心身がすり減っていました。
私は「失業給付金もあるし、その後また働けば大丈夫」と説得を重ね、翌日には上司に退職を告げました。

夫:「決断、早すぎないか?お金は大丈夫?海外旅行には行けなくなるね。」

心配そうな夫でしたが、最終的には気持ちを理解してくれました。今でも感謝しています。

思わぬお誘いと断念

しばらくして、「年収800万円で部長職」という思いがけないお誘いをいただきました。
心が揺れましたが、その話を夫にすると、静かにこう言いました。

夫:「いい話だね。でも……かなり忙しくなるんじゃない?」
私:「そうね、今まで以上に激務になりそう。けれど収入は大きいし、やりがいも感じているの」
夫:「お金は大事だけど、体のことも考えないと。これからは無理せず過ごしたほうがいいよ」
私:「……そうね。暮らしを大事にしたほうがいいかもしれない」

その会話で、自分の中でも気持ちが整理されました。
結局、お誘いはお断りすることにしましたが、「お金」よりも「これからの暮らし」を優先する決断ができたのは、夫の言葉のおかげだったと思います。


家計の安心感を支えたもの

そんなある日、夫にスマホの家計簿アプリの画面を見られてしまい、秘密にしていた貯蓄額がバレてしまいました。

夫:「株で退職金を倍にしたのか?」
私:「そんなわけないでしょ(笑)」

退職金に加え、6年間コツコツ積み立てた貯金や保険の解約、投資信託の積立が重なり、気づけば資産が大きく増えていました。

夫は少し安心したようですが、「老後はお金が必要。使いすぎないように」と今でも口を酸っぱくして言われています。
それでも、少なくとも「再就職しろ」と言われることはなくなりました。


今振り返って思うこと

退職の決断は、正直とても勇気がいるものでした。
でも、私を支えてくれたのは「家計の見える化とコツコツした資産形成」でした。

もし資産を整理していなかったら、不安に押しつぶされていたかもしれません。
数字で確認できる安心感は、気持ちを落ち着けてくれるものです。

同じように「退職を考えているけれど不安」という方がいたら、まずは家計を整理してみることをおすすめします。
それだけで心の支えがぐっと増えると思います。


まとめ

  • 突然の内示をきっかけに退職を決断
  • 夫とのやり取りで迷いも多かった
  • 家計管理の積み上げが安心感につながった

退職は人生の大きな節目。
私もまだ試行錯誤の途中ですが、「あのとき決断してよかった」と今は思えます。
よかったら、みなさんもご自身の「家計の見える化」から始めてみませんか。